前回の「その1」に続いて、人材紹介会社に頼らない採用について考えてみたいと思います。タイのビジネスに成功するためには、面接を含む採用活動が非常に重要です。採用活動は求職者が自社の理念、社風、仕事内容とマッチしているかどうかのふるい分けのプロセスです。
「人材は採用してみないとわからない」「タイ人は仕事ができない」という話を聞くことがありますが、私はそうは思いません。こういった企業は、自社の問題を他人に転嫁しているとも言えないでしょうか。実際、私は何人もの優秀で真面目なタイ人を見てきました。特にタイ人は仕事ができないと考えるのは、思考停止状態で危険です。こういった方々はまだ優秀な人材に出会えていないか、出会っていても気が付いていないだけなのでしょう。
もし、良い人材を採用できていないのであれば、自社の知名度や規模などに嘆く前に採用活動を見直してみることをお勧めします。もちろん、採用活動に力を入れたにも関わらず、採用に失敗することもあるでしょう。しかし、採用に力を入れていない企業の方が、失敗するリスクは高く、良い人材を採用できていないでしょう。人材の採用はなかなかすぐに目に見えるものではないですが、この良し悪しがボディブローのように少しずつ会社へ影響してくると思います。
こういったことを意識するためにも、人材紹介会社に頼るだけではなく、自社で採用活動をしてみることをお勧めします。
ところでオンライン求人サイトでの自社採用と人材紹介会社経由での採用では、どういったメリット・デメリットがあるでしょうか。下記に思いつく内容を列挙してみました。
<自社採用活動>
メリット
- 自社に見合った人材をダイレクトに選べる。紹介会社経由では、自社にとって有益な人材が見落とされている可能性もあり得る。
- 紹介会社経由で候補者に連絡しなくて良いので、伝達が早く待遇などの交渉もし易い。また、相手の反応を直接見ることができる。
- 給与の相場など様々な候補者の情報を自社で直接把握することができる。
- 採用方法の選択肢が増える。
デメリット
- 採用してもしなくても、サイトへの登録費用が発生する。
- 候補者との連絡、求人票の掲載、タイ語レジュメの翻訳などの手間がかかる。
<人材紹介会社>
メリット
- 候補者との連絡、求人票の掲載、レジュメの翻訳などの手間が省ける。ただし、求人票の元情報(給与、ポジション、業務内容)は自社で作成が必要です。
- タイの人材情報を無料でもらえる。
デメリット
- 採用人材の給与の数か月分の成功報酬料がかかる。(月給3万バーツで2か月分なら6万バーツ)
- 顧客企業やその業界のことをよく理解していない場合があり、検討違いの人材を紹介されることがある。
- たくさんの顧客を抱えているため、自社のために積極的に紹介してくれるとは限らない。
- 大量に採用してくれるといった顧客には優先的に紹介していることも考えられる。
- 候補者との連絡はしてくれるが、面接の実施や雇用契約書の作成は自社で対応が必要。また、レジュメも要約はしてくれるが、全て翻訳してくれるとは限らない。
仮に給与が3万バーツの従業員を年間3名採用する企業があるとします。人材紹介会社経由では、成功報酬が給与の2か月分とすると、3万×2か月×3名で合計18万バーツです。もし、オンライン求人サイト「Jobthai」を使った場合は、3職種、1年間で登録料は28,512バーツです。人材紹介会社と「Jobthai」との採用コストの差は約15万バーツです。しかし、御社で独自に採用する場合には、担当スタッフが必要ですから、実際は15万バーツより差は少ないです。給与3万バーツの人事スタッフに採用を担当させるとして、この社員の年間の給与は36万バーツです。ただし、年間3名を採用するだけであれば、1名の採用に1か月かけたとしても、残りの9か月は他の業務ができるわけですから、実際に発生するコストは9万バーツ(1か月×3名)で、自社採用の方が6万バーツ安くなります。
「Jobthai」などのオンライン求人サイト以外の採用方法としては、下記のものがあります。
- 自社ホームページで募集。ただし、有名企業でないと、アクセスしてもらえない可能性が高い。
- 会社の前、工業団地の前に求人広告を張り出す。それなりに応募はあるが、検討違いの職種経験者からの応募もある。
- กรมการจัดหางาน(職業斡旋局)に求人広告を張り出す。
- 近くの大学・専門学校に求人広告を張り出す。
- 採用イベントに参加する。
いかがでしょうか。今回のブログが御社の採用活動を見直すきっかけになれば幸いです。もし、自社採用してみたい、あるいは採用に関する悩みがあれば、ぜひミトラパープにご相談下さい。